安全運用

ラジコンを操縦する者が守るべき安全操縦

ラジコン協会が会員に配布している「ラジコン操縦士手帳」には、ドローンやラジコンを操縦する者が守るべき安全操縦に関する事項を記載しています。その主なものは次のとおりです。

飛行または走行(ボート、自動車等)場所

(1)人や民家、学校、病院、その他の建造物から十分に離れた場所

(2)鉄道線路、道路等から十分に離れた場所

(3)一般の飛行場及び飛行管制空域から十分に離れた場所

(4)送・配電線、発・変電所から十分に離れた場所

(5)石油・ガス・化学・火薬等の工場、コンビナート及びガスタンク等から十分に離れた所

(6)歩行者、遊泳者、釣り人、ボート等のいない場所

飛行または走行の管理

(1)必ず指導員若しくは管理責任者の指示に従うこと

(2)ラジコン発振器、受信機のスイッチの切り忘れ等に注意すること

(3)人の上空を飛行させたり他人に恐怖を与えるような操縦をしないなど第三者の安全に配慮すること

(4)数人の操縦者が同時に、飛行又は走行する場合には、安全確保のために補助者を必ず配置し、常に飛行場又は走行上の安全確認に努めること

責任を自覚し安全を図る

(1)電波モニター等により、使用されているバンド及び使用しようとするバンドを必ず確保すること。また、バンドリボンを使用プロポのアンテナに装着するとともにバンド管理盤若しくは管理ボール等に取り付けるなど使用バンドを明示すること

(2)スポーツマンシップに則って行動すること

(3)社会の一員として第三者に迷惑を及ぼすことはしないこと

①河川敷等公共用地を利用した場合は、自分が出したゴミ(飲食物、空き缶、たばこの吸い殻、その他)は必ず持ち帰ること

②河川敷や飛行場・走行場周辺の敷地や道路に勝手に車を乗り入れたり駐車をしないこと

③模型用エンジンを使用場合は、マフラーを装着し、防音に注意すること。また、早朝や夕刻・夜間の飛行やエンジンの始動はしないこと

④飛行場所の規模や環境に合わせて、飛行高度、飛行範囲及び機体の大きさ(エンジンのクラス)等の制限を自主的に設けること

(4)飛行・走行などによって発生したすべての結果は、その操縦者が責任を負わなければならない

(5)飛行・走行の操作、整備の心得を守ること

危険防止

(1)1人で飛行や走行をしないこと

(2)ヘルメットを装着すること

(3)酒気を帯びて操縦しないこと

(4)健康に異常がある場合は、操縦をしないこと

(5)強風など天候が不順な場合は、操縦しないこと

(6)地震や雷が発生した場合は、周囲に知らせるとともに直ちに飛行を中止し安全な場所に待避すること

未経験者や初心者の飛行や走行

(1)必ず熟練者に付き添ってもらうこと

(2)熟練者は、未経験者や初心者の飛行・走行が安全でないと判断したときは、直ちに操縦を交代する等、絶えず注意して安全を確認すること

(3)未経験者や初心者は、販売店で相談の上なるべく初心者用の模型から入門することが望ましい

整備

(1)十分に整備された模型で飛行・走行すること

(2)飛行・走行を行う度ごとに必ず点検し、動作や安全確認を行うこと

(3)送信機・受信機の電源、サーボモーターの動作、プロペラの締め付け、ビスの緩棟を常にチェック、又は、テストする習慣を身につけること

飛行・走行

(1)飛行・走行は、管理者の指示に従うこと

(2)飛行・走行前は、場所の安全を確認すること

(3)緊急時には、同伴者や付近にいる第三者に知らせること

(4)飛行・走行の開始や着陸進入時及び飛行・走行の終了を付近の者に必ず知らせること

安全の最優先

(1)電波法違反となる無線機(プロポ)は使用しないこと
プロポは、標準規格適合証明シール又は、2.4Ghz帯プロポ登録シールの貼付してあるものを使用すること

(2)墜落及び衝突等で強い衝撃等を受けて強度的に不安のある場合、または装備が不完全な機材では、絶対に飛行・走行をしないこと

(3)消音効果のあるマフラーを装備すること

機体の回収

(1)飛行している下では回収行動を行わないこと

(2)回収行動は必ず2名以上で行うこと。1人では絶対に行わないこと

(3)ボートを使用する場合は、ライフジャケットを着用し、必ず2名で行動すること

(4)川の増水時や流れの早い場合は、ボートでの捜索は行わないこと

(5)川に墜落した機体を泳いで回収することは絶対にしないこと

(6)背丈の高い草むらでの回収は、2人以上で行い、居場所を示す目印をつけた竿及び携帯電話を持ち、互いに声を掛け合うなど連絡を取り合うこと。また、夏期は長時間の捜索を行なわないこと

その他

(1)不測の事故が発生した場合は、速やかに警察や消防に通報するとともに冷静に行動すること

(2)自転車、自動車等の乗り物は、十分に離れた場所に駐車すること

(3)第三者が飛行・走行場ないに立ち入らないように注意すること

留意事項

○機体や送信機の取扱説明書をよく読み、注意事項を遵守する。

○運用前にパソコンにつないで、ファームウェアのアップデートを行う。
(ドローンメーカーは、制御プログラムやジオフェンス機能に関する飛行禁止空域データなどを逐次アップデートしているので、最新のプログラムやデータにしておくこと。他方、プログラムのバグの可能性も念頭に置き、機体の動作に不審な点を感じた場合は、すぐに点検すること)

○基本的には、ドローン用飛行場など安全な場所で、目視可能な範囲の空域、昼間の時間帯で運用する。必要に応じて補助者を配置する。(法令のルールだけでなく、航空局のガイドラインやマナー・モラルを守って運用する。)

○悪天候、強風時は無理に飛ばさない。風雨時や霧が発生している環境での飛行は止める。

○人の上や鉄道・道路付近は危険なので飛ばさない。
(危険な場所や飛行禁止の場所では運用しない。航空法では人や物件から30m以上確保となっているが、鉄道・道路からは目安として300m以内は飛ばさない。また、現在の技術水準では飛行中のドローンが落下する危険性が排除できないため、国土交通省では第三者上空の飛行は原則として許可していない。)

○鉄板が敷き詰められた場所や磁性体で囲われた場所、地場を発生する場所での運用は、磁気センサーなどが狂い、暴走や墜落につながるおそれがあって危険なので止める。ドローンの磁気センサーは磁性体に弱い(磁性体によりセンサーが狂う)。そのため、磁気センサーの搭載位置や他の磁性体部品との位置関係にも注意を要する。

○強い電波を出す無線基地局や送電線の近くなどは、電波障害のおそれがあるので、その近くでの飛行は避ける。また、市街地は電波雑音が強く、人も多くて危険なので飛ばさない。

○運用開始時に、機体が操縦どおりの正常な動作をするか確認する。飛行終了後、バッテリーやモーターにいつもと違う、あるいは他と違う発熱や異常がないかどうか確認する。異常があれば、点検し、必要なら機材や部品の交換等を行う。

○機体側の機器の故障により墜落したり緊急着陸したりすることを想定して、機体直下を中心に、ある一定の範囲に常に注意を払って飛行させる。
(墜落や緊急着陸に備え、機体の直下を中心に機体高度の1/2倍から2倍程度を直径とする範囲の地上の安全に常に注意を払い、人がいないこと、損害を与えそうな物がないことを常に確認すること。)

○空撮への関心から、家電感覚で購入する人も多いが、電波で操縦する機器である以上、故障、電波の混信、操縦ミスなどで墜落したり、操縦が利かなくなって暴走したりすることがあることを認識して、常に安全運用を心がけ、万一の時はすぐに対処できるようにしておく。特に、バッテリーはもちろんのこと、モーターやESC(アンプ)にも寿命があることを認識し、定期的に交換する。

○GPSやジャイロの故障等により位置姿勢制御が利かなくなった場合に備え、マニュアルで安全に着地できるように操縦の練習をする。

○墜落時や充電ミスでバッテリーが発火する恐れがあるため運用時は消火器を用意する。

○GPSの入感具合に注意。また、連続して運用していると次第に位置がずれてくるので、定期的にキャリブレーションを行った方がよい。
(GPSは現在31個の衛星が複数の地球周回軌道上に配置されており、時間によって受信できる衛星の数が変わる。受信できる衛星の数が少ないと位置情報の誤差が大きくなる。また、GPSからの電波が通過する大気による影響や反射波などによっても誤差を生じる。衛星4個受信時の誤差は数10m~100m(水平、垂直とも)、可能であれば6個以上の衛星を同時に受信できるよう、見通しのよい場所を確保することが望ましい。(誤差 数m~10m程度))

○FPVによる運用は、周囲の把握が困難であり、気付かずに樹木に接触したりするおそれがある。さらに、モニター映像が消えると機体を見失ってパニックになる危険性がある。改正航空法では「目視外」飛行に該当するため、国土交通大臣の承認が必要であり、操縦者以外に補助者の配置と適切な連携が必要である。

○インテリジェントバッテリーであっても過信せず、充電中は目を離さない。保管方法、廃棄方法にも注意。
(インテリジェントバッテリーとは、充電回数のカウント、バッテリー残量、充放電状況の表示や管理が可能な高機能バッテリーシステム)

○運用前の点検と運用後の点検、清掃

・複数のモーターの回転にバラツキがあったり、機体に振動が発生したり、離着陸時に機体が傾いてしまったら、ESC(アンプ)が正常に働いていない可能性があるため、即座に運用を中止し、ESC(アンプ)やモーター、FC(制御装置)を点検し、正常な状態での運用に心がける。

・離着陸時に舞い上がった粉塵の中の砂鉄がモーター内部の磁石に付着し、その影響でモーターが破損することがあるので、離発着場所には十分注意し、飛行前後にモーターを十分点検すること

○モーターをオーバーロード状態で使用すると、オーバーヒートを起こし、磁力の低下や内部マグネットの剥離などモーターを破損する。正しいプロペラの選択や積載重量には十分注意し、モーターの負担を軽減することを心がける。

○リポバッテリーの飛行機内持ち込みには制限がある。手荷物預かりは不可。持込手荷物の場合、容量100Wh以下は個数制限無し(手荷物全体で10kg以内)、100Wh超160Wh以下は2個まで、160Wh超は不可。以前、機内でのバッテリー発火事件があったこともあり、ショートしないように保護し、専用ケースやバッテリーバッグに収納すること。

○国土交通省HP「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の飛行ルールの「安全な飛行のためのガイドライン」のなかで、不測の事態に備えて保険加入を推奨している。
(国土交通省によると、許可・承認申請における保険加入率は約96%である。(ただし、法律による保険の義務化は困難な様子)ラジコン協会のラジコン保険は、ホビー用のドローン(マルチコプター)も対象。日本模型航空連盟も、2017年1月1日からF3Uマルチローター機を模型飛行士登録の対象に追加する制度改定を行っている。)

留意事項

第三者のプライバシー等に関して、総務省が2015年9月に公表したガイドラインである。
ドローンは、通常予期しない視点から戸建て住宅やマンションの部屋の中などを、居住者の同意なしに撮影することが可能であるが、撮影される者(被撮影者)の同意なしに映像等を撮影し、インターネット上で公開することは、民事・刑事・行政上のリスクを負う。例えば

①プライバシー侵害行為が行われた場合、民事上、撮影者は被撮影者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになる。

②また、浴場、更衣室や便所など人が通常衣服をつけないでいるような場所を撮影した場合には、形而上、軽犯罪法や各都道府県の迷惑防止条例の罪に該当し、処罰されるおそれがある。

③さらに、個人情報取扱事業者による撮影の場合には、無断での撮影行為は不正の手段による個人情報の取得として、個人情報保護法の違反行為となるおそれがある。

特に、撮影映像等をインターネット上で閲覧可能とした場合、被撮影者に対する権利侵害があったときは、人格権に基づく送信防止措置(プロバイダ責任制限法参照)や損害賠償請求の対象となる。
そのため、総務省では、ドローンによる撮影映像等をインターネット上で閲覧可能とすることについての考え方を整理し、このような行為を行う者が注意すべき事項をまとめたものである。(プライバシーの侵害等とならないための取組の目安を示すことにより、安心してドローンを利用できる環境を整備する。)
ガイドラインの具体的な内容は以下のとおりである。ドローンにより映像を撮影し、インターネット上で公開を行う者は、以下のような事項に注意することが望ましい。

(プライバシー侵害等に当たるかどうかは、画像の内容や写り方に左右される面が大きく、最終的には事例ごとの判断となる。趣味で飛行・撮影を行うケースや興味本位で画像を収集するケースなど、ドローンの撮影自体に公益的な目的が認められない場合には、プライバシー侵害等と判断されるリスクが大きくなると考えられる。)

具体的に注意すべき事項

(1)撮影方法への配慮

・住宅周辺における撮影を行う場合は、写り込みが生じないような措置を取ること

・特に、高層マンション等の場合は、ドローンのカメラが水平に撮影することによって住居内の全貌が撮影できることとなることから、高層マンション等に対して水平にカメラを向けないこと

・住宅地周辺を撮影する場合には、リアルタイムで動画配信するサービスを利用して、撮影映像等を配信しないこと

(2)撮影映像等の処理

・仮に、人の顔やナンバープレート、表札、住居の外観、住居内の住人の様子、洗濯物その他生活状況を推測できるような私物が撮影映像等に写り込んでしまった場合には、削除、撮影映像等にぼかしを入れるなどの配慮をすること

(3)削除依頼に対する体制整備

・映像をインターネット上で公開するサービスを提供する電気通信事業者は、削除依頼に対する体制として、迅速かつ容易に削除依頼ができる手続を整備すること

・その手続は、インターネット上での受付だけではなく、サービスの提供範囲等の事情も勘案しつつ、担当者、担当窓口等を明確化することや、必要に応じて電話による受付も可能とすること

電波障害・混信・妨害等があった時には

不法無線局を使用している者を確認した場合、当事者とのトラブルを避け、できる限りの情報収集に努め、その結果を当該地域管轄の総合通信局に申告すること