小型無人機等飛行禁止法

正式名称は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(2016年法律第9号、2016年3月18日公布、同年4月7日施行)(以下「本法」という)です。

本法の目的

本法の目的は、第1条に規定されている。

(目的)
第1条 この法律は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする。

改正航空法と同様に、2015年4月に発生した官邸ドローン事件をきっかけにした議員立法による法律です。本法は、国会議事堂、首相官邸、中央省庁など国の重要施設等の上空における小型無人機の飛行を禁止することにより、それらの施設に対する危険の未然防止を図るものです。
本法は2016年4月に施行され、2015年12月に施行された改正航空法による無人航空機の基本的な飛行ルールを補完する形で、国の重要施設等の上空における小型無人機等の飛行を禁止しており、その対象となる「小型無人機等」は、航空法の「無人航空機」より範囲が広いものです。

小型無人機等と飛行禁止地域

(1)国の重要な施設等

国の重要な施設等とは、国会議事堂、議員会館、衆参両院議長公邸など、総理官邸、総理及び官房長官公邸など、政令で定める危機管理行政機関、最高裁判所、皇居及び東宮御所、総務大臣指定の政党事務所

(2)対象外国公館等

外務大臣指定の外国公館等

(3)対象原子力事業所

国家公安委員会指定の原子力事業所

本法の「小型無人機」は、航空法の「無人航空機」と異なり重量による除外規定がないため、200g未満の超軽量ドローンやトイラジコン機なども対象となる。
また、小型無人機等の「等」は、特定航空用機器として国家公安委員会規則(本法施行規則)の規定により、気球、ハンググライダー、パラグライダーなど、人が乗って操縦し、飛行できるものが対象に含められている。
そして、本法により、国の重要な施設等の敷地及びその周囲おおむね300m以内の地域の上空において、小型無人機等の飛行が禁止されている。(本法第8条第1項)
なお、本法第8条第2項の規定により、次の場合は本法の適用除外となる。

①対象施設の管理者やその同意を得た者による飛行

②土地の所有者やその同意を得た者による飛行

③国又は地方公共団体の業務として行う飛行

ただし、それらの場合であっても、あらかじめ管轄の都道府県公安委員会等に通報しなければならないと規定されている。(本法第8条第3項)

※周辺地域の指定は、番地単位で行われるため、告示で指定された区域(下図の青色区域)と300mの範囲(点線の区域)とは必ずしも一致しません。

小型無人機等と飛行禁止地域

なお、対象施設周辺地域(上図の青色区域や赤色区域)の上空において、小型無人機等を飛行させる場合は、所定の通報書と同意書を添えて、飛行の48時間前までに管轄の警察署等を経由して管轄の都道府県公安委員会等に通報しなければなりません。
対象施設は、東京・霞ヶ関の中央省庁の庁舎など永続的なものもあるほか、外国要人がサミット等の国際会議で訪日する際には、その会場と周辺地域を、会議期間の数日間に限り、小型無人機等の飛行を禁止するなど、外務省が告示により期間限定で指定するもの、会場のある地方公共団体が条例で飛行禁止や飛行自粛などを出すものもあります。
詳細は警察庁のWEBサイトをご覧ください。なお、法第8条第3項の通報について、対象施設周辺地域に海域が含まれる場合は、海上保安庁のWEBサイトを参照ください。