電波法

概要

電波は、情報量による一定の幅を持ち共通の空間を伝搬し、受信する側にその内容が正しく識別出来るように伝搬されなければなりません。それには、相互の混信や妨害を防止することが必要となるため、技術基準や利用方法等の統一性など規律が重要となります。電波を利用するに当たっては、利用者が守らなくてはならない基本的なルール(規律)が電波法なのです。

【電波法の目的】電波法第1条
この法律は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。

電波の利用は、利用する者の地位や団体の規模等で区別したり、早い者勝ちであってはならず、また、混信や妨害のないよう能率的に利用しなければならないとしています。
無秩序な運用は、ラジコンの場合、ノーコンとなり墜落や事故の原因となるばかりか業務用無線通信に混信や妨害を与える恐れもありますので、ラジコン運用に際しては電波法の規定を遵守し、相互で周波数を確認・調整を行い、混信や妨害を生じないようラジコン用として認められた正しい電波を使用し適正な運用をすることが求められています。

電波を利用する場合は、総務大臣の「免許」が必要

免許制度は、電波が有限希少な資源であり国民生活に密着しているため、利用者に自由な裁量に委ねると混信等秩序を乱し、公平かつ能率的な利用と通信目的が達成されなくなることから導入免許制としています。ただし書きでは電波が著しく微弱なものや、一定の要件に適合したものについては免許を不要とする例外規定を設けています。
ラジコン用無線局は、一定要件に適合(後述)したものに限り免許不要の無線局として位置付けられています。

【無線局の開設】電波法第4条
無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。
一. 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令(*)で定めるもの。 (以下省略)
*電波法施行規則第6条第1項

無線局の免許手続き

免許を要しないものに該当しない無線局を開設し運用しようとする場合は、電波法第4条の規定に基づき郵政大臣の免許を取得しないと利用できません。

○電波法、無線局免許手続規則などの規定に従って総務大臣に免許の申請を行わなければなりません。

○総務大臣は、技術基準に適合しているか否か、周波数割当が可能かどうか、開設の根本基準に合致しているかどうか等を審査し、OKならば予備免許し検査を行い適正であると判断した場合に初めて免許状がを交付するされます。

○免許の有効期間(通常5年)満了後も運用の必要があれば再免許手続きが必要、また、無線局が不要となったときは無線局廃止の手続きが必要となるります

○無線局の免許の有効期間中は、毎年、無線局の種別に応じた電波利用料を納めなければなりません。

無線局の免許手続き

【電波法の定義】電波法第2条

・「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者(*)の総体をいう。ただし、受信のみを目的とするものを含まない。 *無線従事者

・ 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。

・ 「無線従事者」とは、無線設備の操作、又はその監督を行う者であって、総務大臣の免許を受けた者をいう。

免許を要しない発射する電波が著しく微弱な無線局とは

発射する電波が著しく微弱な無線局(以下「微弱無線局」という。)は、都市雑音、妨害程度、無線機器の使用目的、周波数、空中線電力(電波出力)、電波監理(技術基準認定等)等を加味した一定要件を満たしているものをいい、免許不要の無線局として制度化されているものです。 微弱無線局は、電波法施行規則第6条第1項でその要件が規定されています。

【免許を要しない無線局】電波法施行規則第6条

電波法第4条第1号に規定する発射する電波が著しく微弱な無線局を次のとおり定める。

一.当該無線局の無線設備から3メートルの距離において、その電界強度が、次の表の上欄に掲げる区分に従い、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下であるもの。

周波数帯電界強度
322MHz以下 毎メートル500マイクロボルト以下
322MHzを超え10GHz以下 毎メートル35マイクロボルト以下
10GHzを超え150GHz以下 次式で求められる値(毎メートル500マイクロボルトを超える場合は、毎メートル500マイクロボルト。)
毎メートル3.5fマイクロボルトfは、GHzを単位とする周波数とする。
150GHzを超えるもの 毎メートル500マイクロボルト以下
免許を要しない無線局

二.当該無線局の無線設備から500メートルの距離において、その電界強度が毎メートル200マイクロボルト以下のものであって、総務大臣が用途並びに電波の型式及び周波数を定めて告示(*)するもの。 (以下省略)
*郵政省告示第708号(最終改正 1998年12月25日)

(注1)施行規則第6条第1項第一号
ここで規定されている無線局は、総務大臣の免許は不要であるため、免許以外の事項ついては、周波数等は原則、自由使用できます。
使用例:トイラジコン等
(注2)第二号に規定されている無線局は、用途並びに電波の型式及び周波数が告示により定められており、その条件の下で使用することで免許を要しないものとなります。
使用例:ラジコン、PHS(子局)、コードレス電話、簡易無線等
(注3)微弱無線局と言えども、無線局として電波を発射するものであるから、他の無線局に妨害を、与えることもあり得るため、一般的通則事項は守らなければなりません。また、他の無線局に妨害を与えた場合、総務大臣は障害を除去するために必要な措置を取るべきことの命令や設備の検査を行え、また、その命令等に従わ ない者には罰則が適用されます。

微弱無線局の特徴

近年、技術の進歩及び産業や国民生活におけるニーズの高度化・多様化伴い、用途に応じた無線局が増大し、データ伝送や各種リモートコントロール(リモコン)など、通信エリアは狭小ではあるが、その利用は著しく増大しています。

・免許を要せず誰でも使用できること

・通信方式やチャンネンル数などシステム等その用途に応じて自由に構築出来ること

・特定の用途周波数を除き、自由に周波数を選択したり変更出来ること

・他の無線局からの混信妨害に対する保護はされない。

・サービスエリアは、電界強度(電波の強さ)の許容値が非常に小さいため半径約20~30メートル以内程度と極めて狭い。(利用できる距離は、使用する周波数帯、使用場所、地形、受信機の性能等により異なります。)

免許を要しない無線局及び受信設備に対する監督(電波法第82条)

(1)総務大臣は、第4条ただし書の規定による免許を要しない無線局(以下「免許を要しない無線局」という。)の無線設備の発する電波又は受信設備が副次的に発する電波若しくは高周波電流が他の無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるときは、その設備の所有者又は占有者に対し、その障害を除去するために必要な措置をとるべきことを命ずることが出来る。

(2)総務大臣は、免許を要しない無線局の無線設備について又は放送の受信設備以外の受信設備について前項の措置をとるべきことを命じた場合において必要があると認めるときは、その職員を当該設備のある場所に派遣し、その設備を検査させることができる。 以下省略

無線局の推移(免許不用局を除く)

無線局の推移